デザイン=ブランド

デザイン=ブランド

どの企業も始まりは自分で工場に行き、商品をつくり、接客し、販売する「一人サプライチェーン」を行い、市場と生産の完全同期化を行って成長していった。しかし、企業規模が拡大し、商社や独立した部署を使って分業制にした瞬間、全体が見えなくなり、ヒット商品が生まれなくなった。
システムを使ったサプライチェーンやオペレーションの効率化により、究極の一人サプライチェーンをつくりあげること、それは企業にとって必要条件であるが、十分条件ではない。

なぜなら、業務フローの最適化を目指した結果、どの企業も同質化してしまい、改善手法だけが組織に残り、市場では安売り競争が止まらない。商品を安く売るだけのための改善だったのか。もはやそれをやるだけでは競争に勝つことはできない。

消費者からすれば、同じような商品が多数ある中、インターネットを使い横並びで価格を比較して、価格の最も安いものから購入していく。また、消費者にとってもはや定価で購入するのはあほらしく、さらにはクーポンやポイントを連発して、企業にとっては販管費で処理できているかもしれないが、実質的には値引きと変わらない。さらには、管理会計による付け替えで売上をごまかし、BSには売れない在庫が残ったままである。

これらが失われた20年30年?の日本の現実である。
このような状況を打破する戦略が「ブランド」であると多くの人が唱えているが、大部分の人はその本質を間違えている。

「ブランド」とは、原価千円のものをCM等のプロモーションによって単に五千円で売ることではない。消費者は五千円の価値がそこになければ誰も見向きもしない。
また、ある商品は赤字になっているにも関わらず、プロモーション等の広告宣伝は止められないという。なぜなら、止めた途端に売上が落ちるからである。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、それが現実の姿である。

アップルは、ウィンドウズよりも3割高くてもその価値を認めて消費者はファンになり購入する。それが「ブランド」である。また、このブランドがあるからこそ、企業の営業活動に多くの競争優位と収益をもたらしてくれるし、販売活動や日々の業務を優位に運営することができる。その結果、人材採用で優秀な人を集めることができ、従業員のロイヤルティを高める効果もある。
消費者はブランドが保証する訴求価値に対して、価格の合理性を感じるし、そのブランドの商品を継続して購入するロイヤルカスタマーにもなりうる。さらには、独自のポジションを築けば築くほど、訴求価値は高くなり、テレビCMや口コミ、SNSにより広範囲に、そしてスピーディーに価値を認知させてくれる。

「ブランド」はその活動、つまり企業活動体系そのものであり、行動指針になるもの。そのすべての活動から創造されるサービス、商品がブランドになる。企業をブランド化したいのであれば、仕事の仕方そのものを変えていかなければならない。だからこそ、デザインを追求することが必要になる。