失敗しないコンサルティングの選び方

失敗しないコンサルティングの選び方

もっとも言いたいことは4つ。

1.注力して取り組むべきなのは、市場の中で自社のユニークなポジション(強み)を自ら築くこと。
2.そのユニークなポジションをされに強化するためのデジタル化(業務効率化など)をITコンサルタントやベンダーを使いながら導入すること。
3.コンサルタントは、それぞれの強みや専門領域が異なっているため、自社の課題や現状に即した選択をすること。
4.KPI(Key Performance Indicator)を自ら仮説し、定量的に評価させるための手段(手足)としてコンサルタントを使うこと(丸投げしないこと)。

皆さんの会社に●●コンサルタントと称する人が入り、急にデジタルツールの導入や業務改革などに直面した方も多いと思います。

コンサルタントといっても様々な専門性があり、彼らの強みや専門性を見極めた上で本来であれば依頼しなければなりません。海千山千のコンサルの中にも、口八丁で経験のない業務を請負し、まともな成果も出さずに莫大なコンサル料だけ請求する強者もいます。

もちろんコンサルだけが悪者ではなく、「赤字だけど何をすればよいのか分からないから取合えずコンサルを入れてみよう」とか、「黒字にするために業務の効率化ができないか」と丸投げするなど、依頼者側にも問題があるのは確かです。

あと、最近では世間の流行りに乗り、やれAI(人口知能)だ、PLM(製品ライフサイクル管理)だとITコンサルを雇い、莫大な費用をかけてデジタルツール導入したものの、さっぱり売上は上がらない。そもそもマーケットは縮小しているのに、AIでトレンドを見極めて、在庫を山のように抱え、換金できなくてライトオフするアパレル業界、なんの戦略もなくデジタルツールを導入して、販管費が膨らみ、原価償却も膨れて赤字。「そんなバカな」ということがまかり通り、ビジネスの基本を忘れた事業会社が多くあります。

ビジネスは等価交換が基本(お金の価値とサービス・製品の価値はイコール)です。事業で成功するためには、究極的には代替困難なサービスや商品がないか、それぞれに付加価値があるのかの2点しかありません。

また、中小企業向けで「短期間で会社の業績を劇的に改善させます」というコンサル会社をよく見かけます。その改善方法とは、まずは経費(交際費、交通費、通信費、消耗品費)など細かく槍玉に上げる。ここで利益率が5%ぐらいは改善(馬鹿にできない)。そして目標管理制度などで成果主義的な方向にして、支給条件を厳しくして賞与カットに持っていく。これで利益率は大幅に改善します。

そして、最後にマーケティング施策を実行するわけですが、商品の大幅な変更をせずともできることをひとまずやり切ることで、売上の若干の改善を見込むことができます。ここまでで1年から2年。その間もコンサルティング費用は発生し続けます。そもそも絶対に売れる商品ができるのであれば自分で売って商売をするでしょう。

企業内部調査(DD)でコンサルが入るとどこもこんな感じで進みます。

まず定性及び定量調査と顧客調査に分けて行います。定性調査は社内の中で1対1(複数人で効率化はしないことが良いですが、数人をまとめて行うコンサル会社もあります)で、100人ぐらいヒアリングする。すべて議事録を取り、どんなワードが出てきているかをみて、ロジックツリーをつくって、因果関係を洗い出し(AIを使う会社もある)、なぜその問題が起きているのかをチャートで整理。意見と事実を見極めながら、その情報を整理する作業の中にその企業の本質(課題)が見えてきます。

定量調査は、事業別に5年分のKPIの流れをみてその会社の病巣を見ていく(あるもののほとんどは意図的に間違っている?から事業ごとに作り変えます)。十中八句、在庫を増やしすぎてBSに不良在庫が残り、損金処理して赤字になっている。

顧客調査は、みんなやらないがした方が良い。そんな会社あったのと言われることが多い。

事業は、基本的には売上利益に直結したところに手を打たなければ、業績を向上させることは難しいです。会社の規則とか、制度や管理体制をいじっても売上や利益が伸びるはずがありません。どんなに管理体制が良くても、商品が悪ければ売上につながらないし、お客さんに信頼されなければお店は繁盛しません。業績の悪い会社に限って、すぐに管理体制の改善だけをしようとすることが多いです。ただし会社が急成長して、これまでの管理体制では顧客サービスに支障が出るとかで早急に確立すべき場合は言うまでもありません。

このようなミスマッチや口八丁に乗ることを防ぐために、コンサル会社をどのように選べば良いのかをまとめました。

コンサル会社選びのポイントの要点をまとめると
1.業種特化型コンサルorテーマ特化型コンサルを選ぶこと
2.中小企業はマーケティングコンサルから導入するべき
3.事業の成長ステージにあわせたコンサルティングを活用すること
4.担当コンサルタントは、大小問わず企業で10年程度の現場経験があるか


業種特化型コンサルorテーマ特化型コンサル

コンサルティング会社とググれば、実に多くの会社が存在しており、その中であらゆる企業の経営課題をカバーする総合型コンサルタント会社は非常に少ないです。また、ある領域に特化したコンサルタント会社も多くありますが、その場合は自社の経営課題の優先度合を見極めた上での選択が必要となります。

しかし、いざコンサルが入ると想定していた課題ではなく、別の課題が浮かび上がり、根本的な解決策を実行できずに依頼された内容通りに、コンサルを進めて行く場合もあります(例えば、依頼してきた社長に事業課題の根本があって指摘できないなど)。

基本コンサルティングの領域は「業種」と「テーマ」のマトリックスで区別されます。「業種」とは、小売業や不動産業といった区別で、自社事業(業種)に専門特化して実績を積んでいるコンサルティング会社を選ぶことをお勧めします。

さらに言えば、例えば小売業と一括りに事業戦略を練ることが出来た時代は過去のはなしで、同業態での競争だけでなく、異なる業態との競争も生まれています。例えば総合スーパーの場合、衣料品はユニクロ、しまむらに、住居関連品がニトリに奪われたように、商品分野ごとに異なった競争相手と対しています。スーパーマーケットでは食品売場を擁したドラッグストアが競争相手となっています。

商店街にある肉屋、魚屋、八百屋は「業種」。コンビニ、ドラッグストア、ディスカウントストア、ホームセンター等は「業態」。

また、消費者が成熟し、店舗の使い分けが進むことで、「業態」の多様化、細分化も進んでいます。例えば建設業では、大規模リフォーム(増改築)、設備交換リフォーム(トイレ、バス、キッチン)、外装リフォーム(外壁塗装)の業態で細分化され、それぞれ商圏の取り方もマーケティングの展開の仕方も違いがあります。よって自社の業態において成功実績があるかを見極めることが重要になります。

一方で「テーマ」というのは、マーケティング、営業、業務効率化、人事、会計といった経営課題の軸になります。これらの領域全てをワンストップで支援できるコンサルティング会社は少なく、これらの領域にもそれぞれの専門性があります。特にITツールを使った業務改善などをコンサルに依頼した場合は、それぞれのテーマの専門性がないため、単にブラックボックス化されたパッケージを導入し、経営課題の解決に何の役にも立たないツールになるといったケースも多々あります。

コンサル会社選びの基本は、自社の「業態」において、直面している課題を解決することを優先すること、すなわちKPI(Key Performance Indicator)を自ら仮説し、定量的に評価させるための手段(手足)としてコンサルを使うこと、さらには「テーマ」に専門特化した実績を持っているコンサル会社を選ぶことで定めたKPIが正しいのかを見極めることです。

KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」や「重要目標評価指標」などと呼ばれるもので、企業目標の達成度や進捗を評価するために特に重要な指標として活用されます。

以前、高校中退後に事業を立ち上げ、まじめな仕事ぶりで信頼を勝ち得て、気づけば年商8億まで育て上げてきた友人に「責任者(役職者)が2人しかいなく、いたるところで間違いや手配漏れなどのミスが多くなっている」との相談を受けたことがあります。

この段階でしっかり仕組みで回る事業モデルをつくることをアドバイスしました。例えば「見込み客の集客」「営業販売」「受注から納品」などにKPIを定めて、その数字を見て業務改善しつつ仕組みをつくります。この時点で「幹部を教育する」「ハッパをかける」などの間違った方向に向かうのではなく、「受注から納品までのフロー」「在庫管理ルール」「営業提案書」などの仕組みをしっかりつくり、日々起きる問題は失敗ではなく、仕組みをつくり込むチャンスとして活かすことが大事です。

そもそも、KPIを定めていないのであれば、責任者(役職者)も何を期待されているのかわかっていないでしょう。責任者の役割とは、「部門目標の達成」「業務の改善」であり、それらに明確な基準がないから明確な取り組みや改善ができないのです。

中小企業はマーケティングコンサルから導入するべき

私自身はベンチャーから上場企業まで数社勤めた経験がありますが、どこも課題が山積みでありその悩みは多岐に渡ります(よくもこれで事業ができているなぁと感心するぐらい)。それでも業績好調な事業は、商品力や集客が強く、お客さんからも信頼されています。逆に商品力が訴求できていない、集客不足、成果に繋がりやすい集客が出来ていない状態では、営業力向上や収益性改善に取り組んでみても、おそらくその成果は持続性のあるものになりにくいでしょう。

基本的には「マーケティング」の課題から解決すれば、その他の大概の問題もある程度解決できると言われています。私の経験でも、コンサルが入り事業全体が上手く回り出したという事例の多くは、第一に「マーケティングの改善」に注力した結果が多いです。理由としては、マーケティングの改善というのは「お客様を集める(認知~購買行動)」というだけではなく、

①お客様を集客することで、営業効率(契約率)が自然に上がる(自ら工夫する)
②お客様を集客することで、効率よく人材育成ができる(見て学ぶ機会が増える)
③ターゲットとなる客層を安定集客することで、単価や粗利率が安定する(リピーターも増える)
④特定の商材などに絞り込んだ集客をすることで、業務効率化が可能になる(商品力に磨きがかかる)
⑤お客さんの集客が多いと必然的に社内ではなく外(お客さんなど)に意識が向く

というようにその他の経営課題の解決に繋がるからです。

注意する点としては、同時進行でマーケティングと業務改善等を別々のコンサルティング会社へ依頼した場合はろくな結果になりません。なぜならば個別課題に対するアプローチは良く見えても、それぞれの解決策に連動性がなければ必ず全体に歪みが生じますし(そもそも別会社のコンサルは牽制して連携がとれない)、特に中小企業では、お金も時間も人材も限られており、複数の解決策を同時にやり切ること自体が難しいでしょう。

事業の成長ステージにあわせたコンサルティングを活用すること

事業を大きく育てていく上で、組織の拡大に伴い出現する「成長の壁」と呼ばれる壁があります。それは売上の節目にある「10億、30億、50億、100億の壁」と呼ばれたり、従業員数が「10人、30人、50人、100人の壁」と呼ばれたりします。それぞれの数字に達する前後は事業課題や組織課題を乗り越える必要性に迫られることが多いため「壁」と呼ばれています。
3~5億程度の場合は社長のマンパワーでまだまだ稼ぐことができますが、流石に10億を超えてくると社員が稼ぐ仕組み(組織でやる仕組み)を整えていく必要があります。

あくまで参考ですが、事業年商で3億円前後のステージまでは、社長(事業責任者)のマンパワーで成功することも多く、コンサルティングを活用する領域は「マーケティング」だけで充分です。自社の業態や強化したい業態に合ったマーケティングを実践するだけで業績は2桁成長していくことが可能です。

事業年商が3億円を超えて5億円を目指すステージになると、社長のマンパワーに頼るのではなく、社長は「事業家」そして「マネジャー」の役目が必要になります。つまり、今まで社長が集客から販売まで行ってきたものを、仕組みで行う状態につくり変え、社長一人でまわしている状態から、社員主体で事業をまわす状態にします。すなわち組織化です。このステージでは、特に人材基盤の安定化とマネジメント強化の必要性が高まりますので、採用や評価制度といったテーマのコンサルティングが高い効果に繋がってきます。

次に事業年商10億円を目指すステージでは、集客から内部業務の標準化(マニュアルなど)や生産性(流通含む)が営業利益に大きな差を生む要素になり、それぞれをバラバラに考えるのではなく、1つのビジネスモデル全体として捉えてつくり上げる必要があります。次のステージを目指して早めにITツールやデジタル分野も含めた業務効率化や改革に取り組むことで成長を加速させることができます。さらに企業として2桁成長を続けるための投資判断も、これまでより大きな規模になることが多くため、ベンチャー投資やプライベートエクエティ、さらにはM&A分野などの専門特化したコンサルティングも取り組みの効果として高いものになります。

年商10億以上の事業では「ビジネスモデル」「分業体制」「成長組織」「人材育成」をうまく運用しながら修正し、それが当たり前の状態にすることが求められます。それが「社風」や「組織風土」となっていきます。

よく、飲食店や美容院などは4店舗目で成長が止まると言われています。店舗数が増えると社長が各店舗を回るのが難しくなり、徐々に売上を落とす店舗が現れます。社長がその店舗をテコ入れすると、他の店舗が落ちるという状態になります。だいたいこの時点で、各店舗で閉塞感が生まれ、社長の指示待ちになり、その結果顧客に対してのサービスに悪い影響が現れます。

この状態でよく採られるのはコンサルによる社員教育です。自律性や自主性をいくらか教育して一時的には改善は見られるかもしれないですが、この教育によって人材が育ち、事業戦略を自ら考え行動できるようになることで、業績向上に繋がるなんて聞いたことがないです。継続的に切磋琢磨する環境や仕組みをつくらなければ、いずれ「慣れ」「ゆるみ」を生む原因になるでしょう。

このように社長が「売上をつくる」から「売上をつくる仕組みをつくる」へと向かい、そして「その仕組みを改善し続ける組織をつくる」へ、さらに「商品やサービスの確認」と「顧客の変化はないか」を関心事にしながら、次の「新規事業の芽を探す」ことが自社の存続を決定づけるものになるでしょう。

担当コンサルタントは、大小問わず企業で10年程度の現場経験があるか

結局、事業はお客さんに合わせて変化(適応)せざる得ないし、社内での忖度がありながらも先に進めるしか市場で生き残るすべはありません。もちろん正論だけでものごとは動かないし、その現場にいる人の感情を、その社員の深層心理までがわかるような洞察力を身に着け、社員の立場に立って考えることがコンサルタントに必要になります。

その上で苦労を掛けるチームとなる社員の思いやり、愛情を忘れてはなりません。それが社員の心に火をつけ、組織の基礎体温を上げ、結果として熱意を高めていくはずです(ここに目に見える形としてのデザインの効果があると考えているのですが・・・他のブログ参照お願いします)。

本来であれば、対立しながらも協力し合うという了解事項があったにも関わらず、企業が大きくなればなるほどしだいに協調し合うことになり、波風を立てずが主流になると「本当のことは言わない」「言っても無駄」という体質を持つのが日本的組織の特徴です。

「一種のあきらめ」がお互いを牽制し合いながら安定しているこのような組織でも、この中でもがき苦しみながら事業を推進してきたことがある人間は、粘り強く、自分の意思を伝え、意見が違っていたら、接点を見つける努力をすることができます。そういった事業経験を持つ人間がコンサルティングには必要です。

終わりに

コンサルティング会社は、当然ですが必須の存在ではありません。昔は虎の巻だったコンサルティング手法も簡単に手に入れることができ、またMBAホルダーや様々な事業経験を積んだ人も有名無名関わらず多くいらっしゃいます。また、大きな絵(正論)を描くだけでなく、小さな実行に責任を持ち、粘り強く成果を積み重ねることができるコンサルタントも中にはいます。

事業規模が大きくなればなるほど、数千数万とういう業務が同時平行的に動いていくため、コンサルタントが入っても、その業務ひとつひとつを確実に見ていくこと(潰していく)はできません。だからこそ、全員が考える人間になって、日々起きる問題に対し、目的や状況に対して判断し対応できるようにしていかなければならないです。一部のコンサルは、完璧な業務フローをつくって「この通りやって下さい」って言うけど、現場は毎時ごとに変化の連続なのに業務フローなんて見れるわけありません。だからこそ、コンサルタントが粘り強く、共創協働しながらその企業の体質を変えていくことが必要になります。

また、人材が限られた中小企業では、本業の差別化と業務効率化を同時に実行すれば、必ず共倒れになります。なぜなら、消費者をワクワクさせるものを提供して単価を上げることと、業務を共通化して、効率化してコストを下げることを同時にすれば、必ず現場は混乱するからです。だから何を自分たちがアウトソージングして、何に注力するかを考えないといけません。

そもそも、大手企業はデジタル技術による業務効率化が進み、同じ商品を低コストでつくることができます。その時に、同じものを作って勝てるはずがありません。しかしデジタル技術による業務効率化はやらなければ負けるけど、やっても勝てない。それは必要条件だけれども十分条件ではありません。

注力して取り組むべきなのは、市場の中でユニークなポジション(強み)を築くこと。ここにすべてのリソースを集中して、お客さんにとってユニークな存在とは何なのか、勝ち続けるにはどうすれば良いのか考え、それをやりながらブランドの輪郭をしっかりつくり、ユニークなポジションを維持するためのデジタル化(業務効率化)をITコンサルタントやベンダーを使いながら導入すること。これが市場で生き残るための必須条件になります。

コンサルタントの有用性が他にあるとすれば、トレンドの変化するスピードが早く、それまでの成功パターンが気づけば失敗パターンに変わっていることも珍しくない時代の中で、あらゆる業態へ出入りし、様々な人との交流があり、トレンドの流れを俯瞰的に捉えることができるコンサルタントの、彼らの知識や経験を有効に利用するといった発想が必要と思います。

ただし、コンサルタントやコンサルティング会社という存在も、それぞれ強みや専門領域が異なっているため、自社の課題や現状に即した選択をしなければ成果や成長に繋げることはできません。