デザイン=コミュニケーション

デザイン=コミュニケーション

前回は美しいデザインが、顧客と企業との関係を築くためのツールとなり、その美しいデザインが顧客の間に感性的な結び付きを作り上げ、その関係性の中で企業は発展することを記しました。

一方で、美しいデザインは顧客だけでなく、組織の中にいる多様な人々をひとつの目的に向かって結びつけることもできます。なぜなら、美しいデザインを通じて人々がコミュニケーションを行うことで、協業・共創する関係が生まれ、その散発的な相互作用(デザイン・プロセス)によって、コミュニケーションが活発になるからです。

また、チームが一丸になってプロジェクトを進行させることができるのも、そのコミュニケーションの中で育まれたコモンセンス(共通理念)を持って活動できる同士であるからです。

ただし、チームの中に同じような役割の人材を起用しないというルールは必要です。なぜなら、同じような役割の人材は、それぞれの主張を繰り返すため、ハレーションが起こりやすいためです。

働く人々が自分の仕事の上での美しいデザインの「目的」と「意味」を鮮明に意識し、お互いが共有することで心と行動が合致し、チームとしてのエネルギーが発揮する源泉となります。チームの人々の心が燃え上がれば、必然的に人と人とは繋がり始めます。チームが一丸になってプロジェクトを進行させることができるのは、チーム内でのコミュニケーションの中で育まれたコモンセンス(共通理念)を持って活動できる同士であるからです。

なぜ、このようなコモンセンス(共通理念)が生まれるのかは、ミラーニューロンによって説明できます。

このミラーニューロンは、1996年イタリアにあるパルマ大学のジャコーモ・リッツォラッティらによって発見されました。
猿の前頭葉の運動前野で、自分がある行為をする時にも、他人が同じ行為をするのを見ている時にも活動する神経細胞で、それはまるで鏡に映したように自分の行為と他人の行為を表現しているというので「ミラーニューロン」と名付けられました。

このミラーニューロンが他者の「行動」や、その行動の「意図(心を読み取る)」という脳の大切な機能を支えているのではないかと推測されています。
他人のしていることを見て、自分がそれをしているかのように感じさせる細胞、それがコモンセンス(共通理念)の土台となります。

このミラーニューロンが、個々の人々の価値観を保持したまま別の価値観に寛容になれるかを決定するのに、とても貴重な助けとなります。だからこそ、別の価値観を受け入れることができ、さらには、他人の心という鏡に映った姿を通して、私たちは自分の本質を知るのです。