お客様や従業員の言うことは聞かない方が良い

「お客様は神様です」という言葉はあたり前のように使われていますが、そんなことを言っている会社ほど、商品・サービスがなっていないことを表しているように思います。そんな経営者によくある勘違いをまとめてみました。

お客様の不満を聞いてはいけない理由

例えば、美容メルマガを書いている人気講師が、メルマガの中で自社の化粧品開発の裏側というコーナーを始めました。

するとある一定数の読者の方から、美容のコツを知りたいのであって開発の裏側なんて知りたくないから、その分を美容のコツに充実させてほしいとのご意見がありました。しかし続けた結果、美容メルマガのコンテンツでそのコーナーが人気を博すようになりました。

ここで考えないといけないことは、その意見の絶対数です。その不満を言っているのが何人中で何人なのかです。このようなクレームは少数派の意見が多く、積極的な発言行為をしない方が大多数です。

だから、期間を定め、そのデータを分析しながら内容を改善していく必要があります。特にサービス業はお客様の要望をすぐにでも答えたくなりますが、変えた場合に他の人にデメリット(価格UPなど)が生じるようでは意味がありません。

その結果にどれだけ数字に差があるのかを見て、サービスを受けるお客様全員のことを考えて事業は組み立てないといけません。

従業員の不満を聞いてはいけない理由

従業員の不満を聞き、その不満を解決すればもっと業績が上がると思っている経営者もいます。

しかし、従業員の不満を解決しても、すぐに次の不満が湧いてきます。残業が多いという不満を聞き、残業が減るように社内調整をすれば、他の誰かは残業代がなくなるといいます。

そもそも誰も何も不満がない状態なんてありえません。会社にとって一番大事なのは、関わる人たちの不満を取り除くことではなく、納得してもらうことです。

その不満の原因や理由をしっかりと説明し、理解することができれば、納得することができ、それを「解決するべき自分たちの問題」として前向きに捉えられるようになります。

従業員に意見を聞いてはいけない理由

社員と話し合って良いテーマ、悪いテーマがあります。また社員と話し合って良い段階、悪い段階があります。これらの中で正しい選択ができることが経営者には必要です。


例えば事業計画をつくる場合、社員に意見を求めるのは、長期的な方針が決まってからです。どの事業を伸ばし、どの事業を落とすのか。そしてどのように展開していくのか。

そこには経営者にしかできない決断するという意志決定が伴います。そこまで決めた後に、社員に「その実現のための意見を聞くこと」になります。
 
もし、長期的な方針を決める前に、社員に意見を求めてしまうと、その多くは「雑音」になります。社員からは沢山の当たり障りのない問題が上げられます。もちろん同様に良いアイディアも多少は出されます。

彼らは現場のプロフェショナルです。その言葉に説得力があるので、その影響を受けてどれも捨てられなくなります。その結果、長期的な方針はあれもこれもとなり厳選されたものでなくなります。

社員に意見を求めることは、非常に重要です。その方針の実現のためのアドバイスをしてくれます。そして、実現のために力を貸してくれます。しかし彼らの力を分散させるような目標は間違っています。

原因でなく現象に対する対策はモグラたたきとなる

新型コロナによる経済的な影響がいつまで続くのかが分からない状況にあります。本来であれば、感染元を封じ込め、感染者と非感染者を「見える化」することで必要な対策をすることができたはずです。

しかし、経済活動と感染拡大による恐怖のトレードオフのどちらも選べず、自粛要請や経済困窮者にはお金をといつた対策がとられていますが、これらは現象による対策です。

必要なのは「見える化」が原因への対策であり、原因を根治させねば、現象に対する対処療法はモグラたたきで続きます。

同じようなケースとして、製造業での不良品の問題があります。不良の大半はヒューマンエラーによるものが多く、それは「意図しないうっかりミス」です。

ヒューマンエラー対策については、多くの書籍では、①手順書や規定類による仕組みの構築、②物理的に不良輪発生させないポカよけの構築、③再発防止などの事後の対策などが説明されています。

しかし多品種少量生産が多い中小企業では、製品ごとにポカよけをつくるのは容易ではありません。ミスの防止は作業者の注意力に依存しており、作業者の注意力には限界がありまし、ある製品にのみ対策しても、違う製品において違う原因で発生し、「もぐらたたき」になってしまいます。

その多くはシステムと人間(特に人間の認知・行動特性)とのミスマッチが原因で起きているため、その原因を解決しなければいつまでも「もぐらたたき」が生じます。

その他にもお客様からのクレームも同じく、原因への対策ではなく現象への対策していることがよくあります。

例えば、接客態度が悪く、無愛想、ものの言い方が横柄、失礼な言葉づかい、態度や挨拶がぞんざい、電話をたらい回しにされたなど、これらはすべてクレームにつながります。

しかし、これらの接客態度が、適切な人員配置の不足から生じているものなのに、社員の接客教育、接客マニュアル化などの現象への対策をしていることがよくあります。

問題解決のステップ

これらの例のように、すぐ解決できる小さなクレームは現象であることが多く、大きなクレームは原因であることが多いので、この違いを認識することが必要です。

この原因を特定するための問題解決のステップは以下のようにします。

  • ステップ1 何もしないと怖いこと(ホラーストーリー)が起きる(定量的にしめす)
  • ステップ2 ホラーストーリーを防ぐためには、原因と現象があり、その原因を特定する
  • ステップ3 原因にアプローチするには何が制約条件になっているのかを特定する
  • ステップ4 制約条件をどう乗り越えるのを考える

例えばコロナ対策を問題解決のステップに応用すると

  • ステップ1 何もしなければ経済損失60兆円、死亡者50万人になる。
  • ステップ2 それを防ぐためには、グレー患者(ウィルス保持?)が至る所で感染させている可能性(原因)を取り除く。
  • ステップ3 全国民が3週間隔離になればウィルスの経路が明らかになるが(経路不明をなくす)、自粛規制に強制力はない(制約条件)。
  • ステップ4 海外のようなロックダウンを強制力をもって実行する。

結果的には、経済活動の継続と感染拡大による恐怖のトレードオフのどちらも選べず、あくまでも自粛要請や経済困窮者にはお金をといつた対策がとられていますが、これらはすべて現象による対策です。

極論を言えば、ステップ4を早期に実行することによって経済活動の再開をもう少し早めることができたのではないかと思っています。