EC化率を上げたいと考える前に

コロナのような非常事態でも売上を落とさないためにECの割合を上げたいという相談が多くなっています。

それに乗っかりWEBコンサルが、お客さんを囲い込むことをCPA(顧客獲得単価)と言って、広告宣伝費を投下しましょうと誘惑してきます。

CPA(顧客獲得単価)

たとえば、自社ECサイトへの誘導するため、WEB広告費を100万円投下して、商品購入をしたユーザーが100人ならば、CPAは1万円となります。

でもこれは企業側の論理で考えている典型的な思考パターンです。間違えないでほしいのは、消費者がECで買うから、結果として企業側のEC割合を増えるということです。

リアル店舗とECの関係

消費者視点で考えれば、ECで購入するのは基本欲しいものが決まっているからでないでしょうか。モノの品質などが全く分からないものをECで購入することは稀だと思います。もちろん生活関連・消費財などの比較的安く、品質が予想できるものもあると思います。

例えば、ECでの売上が10%であれば、それは消費者が10%しか望んでないからとまずは捉えるべきでしょう。コンサルはここを飛ばして、企業側の論理で戦略を組み立てます。

消費者がリアル店舗で買いたいと思っているのに、EC化を進めても意味がありません。

具体的なケースを考えます。例えばリアル店舗が10店舗、EC化率が10%としましょう。

コロナ不況で既存店舗を5店舗閉鎖して、EC化率を上げるためにWEB広告を投下します。

企業側の論理で考えれば、5店舗閉鎖するのだから、そこにあるものが欲しい人はECで買うしかありません。でも売上は激減すると思います。それはなぜか。

その店舗がなくなれば、近くの競合の店舗で買うからです。あたり前ですが差別化の要素がなければ、ブランドなんてどこでもよいのです。そもそもどの産業もモノの供給過多になっており、探せばどこでも買えるようなモノばかりです。

だから、企業側がEC化率を上げても、結果的には売上を極端に減らすことになります。

ECとWEB広告の関係

新商品の広告を投下すれば、消費者は確かに良いと反応します。

消費者の次の行動は、ECモールに行って、商品検索する。そこには似たようなもの、安いものがたくさんあります。

つまり、広告宣伝費を投下すればするほど競合がお客さんを奪うことになります。新商品に差別化要素もなく、ブランドもなければCPAなんてありません。ECモールでよく似たものを安く買うだけです。

仮にCPAでコンバージョンまで一万円掛かるとしましょう。新商品の平均単価が数千円くらい。平均単価の数百円が利益だとして、そのコストを回収するのに何年かかるのか。

このように広告宣伝費を投下して、お客さんを囲い込むことは自殺行為に等しいです。広告費を投下すればするほど、他の会社から買うことになるのです。

お客さんを囲い込むのはリアル店舗

最近、銀座に新しくユニクロの2店舗の旗艦店ができました。1店舗目も銀座一等地にということで話題になりましたが、さらにそれを上回る話題となっています。

広告宣伝の目的は2つ。1つ目は認知を広めること、そして好感度を高めることです。

だから、一番いい立地に一番大きいリアル店舗ほど広告宣伝になるほどになるものはありません。

ユニクロは海外進出するときも、一番いい立地に必ず出店します。それが一番良い広告宣伝になるからです。多くのメーカーも同じような立地戦略を立てています。

因みに、ユニクロのEC化率は10%前後です。このことはリアル店舗で買うという重要性は変わらないことを示しています。

まとめ

企業側の論理で相対的にEC化率を増やせば、売上は減り固定費を賄えず赤字になるでしょう。

EC化率を唯一増やす方法は、リアル店舗で買うよりECで買う方が魅力的な経験となるようにするしかありません。

リアル店舗の方が、VMDや接客、お買い物の楽しみ、それが残存価値として記憶に残り、家に帰って自社ECサイトでポチる。これがオムニチャンネルの重要性です。

オムニチャンネル

店舗やアプリなど、顧客とのあらゆる接点において最適な購買体験を提供すること。例えば店舗に在庫がないとします。そんな時も、ECから購入できたり、受け取りは最寄りの店舗でできたりと、ユーザーが欲しい商品を好きな時に、好きな場所で受け取れるようにすることです。

WEBコンサルは、オムニチャンネルは古いといってEC化しましょうというけど、その結果販管費は増えて結果的に赤字になります。

もう一度原点に返り、お客さんの視点に立って、どのようなモチベーションでどのように買うのか(カスタマージャーニー)を考えなければいけません。

まだまだ、リアル店舗の方がお客さんには魅力的であるし、そこからEC戦略を組み立てるべきです。