答えを探すのではなくて、答えにしてしまう力が必要

私たちもよく用いるリーンスタートアップは、アメリカの起業家エリック・リース氏によって2008年に提唱された、新しいビジネスを創出するための “型”です。

リーンスタートアップのリーンとは「効率的」とか「無駄の無い」という意味があり、「起業家が自らの思い込みで、コストや労力をかけて商品やサービスを作ってしまい二転三転する企業活動」のアンチテーゼとして提唱されています。

そのコンセプトは「仮説」「検証」をできるだけ迅速に回して、発生するコストを最小限にしながらも前例のない新しいビジネスを創造することを目指すというものです。

つまり、思いついたアイデアだけで突き進むのではなく、「顧客の変化をよく見て、時には思い付きを変化させ、初期の顧客を獲得し、ゴールに向かって最短で進む」ことが大切になります。

「計画より仮説検証ありき」は、デザイン思考にも通じる部分があり、顧客の変化に対応するには常に観察することが欠かせません。

観察は、顧客の課題を見極めることに必要ですが、実はこの時、顧客不在という病気になるケースがあります。

顧客不在の病気

リーンスタートアップの肝は、よい顧客設定と、よい課題設定をすることです。

机上での顧客設定や自社製品のある場合など、なんとなく顧客イメージを持ったまま仮説検証を進めてしまう場合があります。

顧客設定は実際に存在し、その顧客の持つ課題が痛みを伴うほど強烈にイメージできるか、なんとなく困っている、あったらいいなではお金を払ってくれることはないでしょう。

また、顧客課題の解決策であるサービスやプロダクトを先に考えてしまうケースもよくあります。

その場合、差別化要素となるユニークな提供価値になっていないため、顧客設定と同じく、なんとなく困っている、あったらいいな程度の解決にしかなっていません。

やはり、突き詰めた課題を素直に解決することが大切ですし、そのためにも間違いを前提に量を出す、つまり仮説を沢山考えて顧客に持って行って検証することが重要だと思います。

しかし、この無計画な変化?(ピボット)よって、二転三転するプランは失敗確率が高いという指摘があるのも事実です。やはり、顧客設定や提供価値に筋の良さ、経験が求められるのは言うまでもありません。

新規事業開発に必要な心構え

このように絶え間ない改善活動を行いながら、製品開発ではなく、顧客開発を行うなど、この手法に共鳴することは非常に多いです。

ビジネスデザインは、プロダクトではなく、インパクトを創る領域。つまり、プロダクトをどうマーケットに適合させていくかなどを考え、迅速なローンチ、確実なグロースを狙っていくには、必須のワザと思います。

ただし、新規事業を立ち上げる際に、よくある話として次のような問題に直面します。

  • 徹底的な市場調査と度重なる社内の利害調整により参入タイミングがずれる
  • 硬直的な実行体制で迅速に意思決定できない
  • 既存事業の影響を考慮しなければならない

予算や期間が限られる中、無限に社内リソースを使い続けることはできません。その場合、筋を見極めた上での決め打ちする、つまり「小さな実現よりも、より大きなビジョンに賭けるべき」タイミングがあるのも確かです。

正しい判断を見つけるよりも、スピードの速い判断をする方が理に適っていることがあります。なぜなら、修正も早くできるからです。社会科学の世界に正しい判断なんてありません。振り返ればそれが正しかっただけです。

つまり、答えを探すのではなくて、答えにしてしまう力がないと、動きながら考える新規事業開発はできません。

仮説検証すればするほど、課題が複雑になっていくことは分かりますが、最初の握り方(スコープという)、範囲を広げすぎていることもあります。

課題というのはシングルイシューでないといけません。もちろん課題は沢山あります。まずは絞り込み、これがないから課題が20も30も出てくることになります。

特にBtoBの新規事業開発の場合は、上流工程に行くほど、本質提な課題に絞り込むことが必要になります。