お客様目線は経営者の「想い」になる

新規事業開発や商品開発で、プロ目線で商品・サービスを考えて過ぎて、次第にお客様と同じ目線で考えられなくなっていく人たちが沢山います。

「これは必ず売れる」と思ったものが全く売れない、しかし何が原因なのか、営業の伝え方が悪いのか、広告宣伝が悪いのか、それとも商品そのものが悪いのか。原因になりそうな項目は沢山ありどれから検討して良いのか分からないという相談をしばしば受けます。

このような時、以下の質問に答えられますかとアドバイスすることが多いです。

  • ①お客様はどんな悩みや希望があって、あなたの商品・サービスを買おうと思うか?
  • ②どこで何がきっかけで、この商品・サービスを知ってもらえるのか?
  • ③お客様は購入前にどんな不安をもっているか?
  • ④お客様は類似商品(競合の商品・サービス)と比べてどこが良くて選んでくれるのか?
  • ⑤お客はあなたの商品・サービスを購入することでどんなメリットがあるか?

実はこの質問に全て明確に答えられるということは、「お客様目線」を持っているだけではなく、経営者の「想い」に繋がっています。

お客様目線はそのまま経営者の「想い」になる

この質問のベースになっているのは、お客様の気持ち(悩み、欲求、不安など)をよく理解し、それをしっかり伝えられているかということです。

昔の商店街の八百屋さん、魚屋さんは接客の中で自然にお客様の気持ちを拾い集め、その情報をごく自然に販促活動に活かしていました。お客様とのやり取りの中で、売れる秘訣をお客様から教えてもらっていたのです。

この質問にあるように「お客様が何を求めているのか」、「自社の強みは何か」を常に把握していなければなりません。さらに、「お客様が何を求めているか」は日々変化します。

自分たちのお客様の悩みや欲求を理解していないということは、別の言い方をすれば、自社の強み、つまり何を伝えればよいか分かっていないことと同じです。

さらに、この質問はお客様目線の順番、つまりお客様のサービスの購買プロセスになっています。つまり、お客様の心が購買行動によってどのように変化していくのかという心理プロセス(お客様の購買パターン)そのものになっています。

先ほどの質問から、詳しく考えてみましょう。

  • ①お客様はどんな悩みや希望があって、あなたの商品・サービスを買おうと思うか?

⇒欲求発生:お客様に何らかの悩みや欲求がなければ、どんなに良いサービスも購入しないはずです。その悩みなどがあってこそ、サービスの購入へと行動を始めます。

  • ②どこで何がきっかけで、この商品・サービスを知ってもらえるのか?

⇒まずは知らなければ購入できません。何かの媒体(広告、WEB、雑誌など)や友人から、その商品・サービスを知ることになります。

  • ③お客様は購入前にどんな不安をもっているか?

⇒購入不安:価格が高い場合や、効果が分かりにくいものであれば、商品・サービス購入時に様々な不安が生じます。他にも初めて購入する時の不安、サービス内容の不安など、これらの不安を取り除いてあげることが必要です。

  • ③お客様は類似商品(競合商品・サービス)と比べてどこが良くて買ってくれているのか?

⇒購入実行:いろんな情報から、不安を克服した結果、購入を決断します。あたり前ですが、購入するのだから、購入に値するものであること。そこで重要なのが、他社とのサービスの違い。これが決断につながります。

  • ④お客はあなたの商品・サービスを購入することでどんなメリットがあるか?

⇒購入評価:必ずお客様は購入したものを後悔したくないため、サービスを改めて調べて満足感を得ようとします。これは心理学で認知的不協和を避ける心理と言われています。なんらかのお客様の持つ感想に対して、満足感をもってもらうことで、リピーターになってもえらます。

このようなお客様の心理段階を考えること、つまりその答えが経営者の「想い」になっていきます。

経営者の「想い」=理念で独自のスタイルを

世の中には多くの企業があり、同じような商品・サービスを提供するという共通の部分はありますが、どんなお客様を対象としているのか、どんな結果を得たいのか、そのためにどのような設備や人員が必要なのかはそれぞれの企業で異なります。

例えば、ある住宅会社の理念は、

「共働きの夫婦子供2人に、独自技術を通じて“安心”を提供する」というものでした。

この会社は地元密着で展開しており、“誰に”は、「地元の家族」で、 “何を”は、「地震に強い、健康面に配慮、セキュリティーに強いなどの“安心”」です。

もう少し深く「誰に」を考えて、ざっくりした「ターゲット」ではなく「コアターゲット」とすることは言うまでもないことです(前回のブログを)。

ここから事業が大きくなれば、さらに「想い」=理念が必要になっていきます。

例えば、世界一のアパレル企業になりつつあるユニクロは、

  • 「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
  • 「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」
  • 「独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します」

としています。

この「想い」は、「企業がどうありたいのか」という理念があってのものです。

この理念に基づいて、経営者が自分のやりたい経営スタイルにしていくことが、楽しみながら長く続けるためにとても重要だと思います。

皆で共有することが大事

この理念を明確にすることは、経営者のモチベーションを維持していくために有効ですが、従業員や、さらにはお客様にとっても大きなメッセージになります。

例えば、新しいスタッフを雇用するために面接をする。その時に「うちはこんな企業です」「うちの部門ではこういうことを大切にしています」ときちんと伝えることができれば、「うちではこういうことを大切にしているから、それを踏まえて取り組んでね」となり、新しいスタッフの行動指針になります。

経営者にとっても、つねに理念を意識し、優先順位を考える機会を設けることで、自分自身も従業員に対して一貫した態度で接することができるし、従業員同士も個人的な判断を越えた会社の優先順位を意識できるようになります。

お客様にとっても「他社との違い」がはっきりと出る部分だし、究極的には会社のファンになってくれます。

さらに従業員の間でも共有し、伝えられていくようになれば、いずれは企業文化になります。

創業の「想い」はあとから自然につくられるものという方もいますが、これら考えれば「お客様目線」から「自社の強み」、「コンセプト」、さらには「理念」までを考える上で必要になることだと思います。