企画提案の根本的な3つの問題

経営コンサルティング

コンサルティングした会社で、よくあるパターンがあります。

それは企画提案で受注し、決まった後は極限まで人件費を削って、粗利を最大化しようとする会社に多くあるパターンです。

このような会社は、人件費を削るため本来では5人でやらなければ間に合わない仕事を2人で行い、そのためオーバーワークで社員は消耗して辞めて行きます。

利益率は低いですが、売上増加に伴いキャッシュは増えていく状況にあるため、数字だけでコントロールしている売上至上主義の社長はそれを指摘するまで気づきません。

ここには根本的に3つの問題があります。

社内のスキル(仕組み)不足

その営業スタイルは、営業マンにそれ行けと飛び込み、あらゆる人脈を使い提案営業させます。そして契約を取ってきた営業マンには賞与を与え、取ってこない営業マンになぜ採れないんだと問い詰めます。

もちろん、社内営業の仕組みはなく、各営業マンのスキルに依存していることが多いです。そもそも営業スキルを教えてもすぐ辞められてしまうし、マネジャーもそれどころではありません。

このように営業マンをばらまいて仕事を取る方法は、現場の社員の仕事のやり方の生産性が低く、無駄なことが多いです。

このような場合は、根本的な課題解決として訓練と教育の2段階の取り組みが必要です。

訓練とは、「業務を完結させ、成果を出せるようにすること」。教育とは、「仕組みをつくり変え、自分で問題を解決できること」です。

訓練には、それなりの仕組みが必要になり、案件の進捗を自分で管理できなければなりません。また、その業務の基準が解っていることも必要になります。

訓練の仕組みが整備されるほど、能力が低い人や経験のない人でも、成果が出せるようになります。もちろんこの訓練制度そのものも結果を検証し改善していく必要があります。

間違えないでほしいのは、人を育てるのではなく、人を育てる仕組みをつくることです。

次の段階が教育です。会社としての明確な目標を依頼します。例えば「月30件の見込客のリストを獲得してほしい」など。その実現のための計画を立てさせて、実際に動いてもらいます。

このように一つの問題解決を担わせることで、粘り強く改善していくことで、自分で問題を解決できるようになります。

トップ営業をしていない

本来、社長は同じようなサービスの競合企業との違いを明確にして、前工程の会社にがっつり入って、例えば1億の仕事に一緒に取り組みましょうとトップ同士でコンセンサスを取ってくるのが理想です。

そのトップ同士が決めた道に沿って部下は業務を効率的に行います。

部下が、細かいものを拾ってくればくるほど、小さいものが増えて生産性は悪化します。その線引きも社内にはありません。

こういう会社は戦略がそもそもおかしいです。部下を走らせてラットレースさせ、足蹴に通ったものが勝つのが昔の営業スタイル、このような会社はそもそも差別化が出来ていません。

そして差別化がないから価格勝負になっています。だから極限の人件費でやらざる得なくなってしまう。

部下が高いスキルを身に着けているという前提があるならば、その場合は会社の戦略とトップの勘違いがそこにあります。

このトップの勘違いや何でもかんでも拾ってくる根本的な原因には「得意単価」がないということです。

この得意単価を明確に持たないと、単価にバラツキを生み、そのバラツキが、上記のような多くの問題を引き起こすことになります。

さらに、単価にバラツキがあると言うことは、商品が絞れていないことを意味します。

お客様の種類も沢山あり、その課題や欲求はバラバラ、お客様の属性や規模も様々です。それらにすべて応えることで、社内の混乱が引き起こされ、企画提案内容も雑多なものになっています。

その結果として忙しいだけで、儲かっていないのです。

社内に野球選手しかいない

差別化が出来ていないということは、根本的に会社の価値とは何かを問い直さないといけません。

しかし、今まで与えられた仕事を丁寧につくることだけで勝ってきた社内人材では、新しく価値をつくるというのはすごく難しいです。

すごく大事な問いというのは、「その会社は未来にとって必要ですか?」という会社の価値そのものから問いです。

しかし、社内を見てみると野球(市場)のルールで30年競ってきた人材ばかりで、サッカーができる人材はいません。

金銭的な耐力が続く限りサッカーをやらせようと努力してきた企業も多いですが、金策が尽きればリストラなど悲惨な結果となっています。さらに言えばサッカーもこの先衰退するかもしれない。

変われない会社は衰退する

こう考えると、会社は永久に変容を続ければならないので、そのゴールは会社を変容する高い低いが市場で生き残る勝負になります。

つまり同質的で変容性が低い組織はダメなんです。

スピードの変化に対応するために、いろんな人がいないといけない、つまり多様性が競争力上、本質的になってきていのに、同質化を求め、その見返りとして終身雇用制度を続けているのです。

一倉定氏は、「事業経営とは、変転する市場と顧客の要求を見きわめて、これに合わせて我社をつくりかえることである」と述べています。

それができない、または市場の変化への対応を見誤ったなら、それは経営者の責任です。

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