スモールイズビューティフル

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会社が大きくなればなるほど、経営側からは現場が見えなくなり、現場は自分たちの担当する領域でしかものを考えられなくなります。そして次第に縦と横のつながりがなくなり、肥大化した組織は衰退していきます。

そんな大企業病にならないために、小さな組織に「創って、作って、売る」を埋め込むことがいかに大切かを説く経営者は多くいます。

例えば、企業再生手法(ターンアラウンド)の三枝氏や、アメーバ経営の稲盛氏など本質的な方法は同じで、小集団の中で企画、生産(調達)、販売という機能を持った組織をいくつもつくり、大きくなったら分裂させていく、まさにアメーバのような組織づくりをしています。

いくつかの会社を担当して思うことは、機能不全に陥っている会社では、各領域の専門家集団がお互いをけん制して、綱引きをやって何も進まない、もしくは進むのが遅すぎることです。特に縦割り組織によくみられる傾向です。

そのため世の中が変化しているのに、変われない、もしくは変わろうともしない、変わろうとすると誰かが邪魔をしてくる、そして次第に業務がパスワークして動かなくなるような会社を多くみてきました。

もちろん大企業で分業化が進むのは、全体の作業効率を上げるためですが、その背景には多能工化させるよりも単能工化(ライン化)させて、つまり同じことを繰り返した方が効率が上がるという考えがあるからです。

しかし、そんなロボットのような働き方ではなく、作業に携わる人員一人ひとりの裁量が大きくして、モチベーションや責任感を高めた「セル方式」の方が、生産性の向上に繋がることは歴史が証明しています。それが「ダイナミックセル方式」へ発展し、そして「Connected Industries(コネクテッド・インダストリーズ)」に繋がっていきます。

アメーバ経営とは

会社の規模が急速に拡大するにつれて、開発・製造・販売がひとりで走り回ることができなくなり、成長を続ける会社をどうすればマネジメントすべきかという悩みから生まれたのがアメーバ経営です。

会社を小集団の組織を分けて、数少ないリーダーに任せること、かつその組織を独立採算制にできないだろうかという発想から生まれました。

特に数少ないリーダーのために、「売上を最大に、経費を最小にすれば、その差である付加価値も最大になる」という経営の原則を、ひとめで分かる仕組みとして導入したのが「時間当たり採算表」です。

この「時間当たり採算表」を使えば、小集団のリーダーは現場の採算管理を容易にできるので、採算を高めるためには、どの経費を減らさなければならないかがメンバーに指示することができます。

ただし、アメーバ経営は、その手法の難しさだけでなく、経営理念(フィロソフィー)との一体性が必要となり、この2つがなければ有効に機能しないこともよく知られています。

小集団で生産効率が上がるのはなぜか

なぜ自分で企画して、最初から最後まで小集団のグループの中で実行する方が、生産効率が上がるか。

それは「何のためにそれを実行するのか」という目的が、その小集団の中で理解できるからです。毎日現場で発生するトレードオフに対して、最終的な目的を理解しているからこそ、その目的に向かってそれぞれが自助努力で変化できるため、小集団化された組織は変化に強いのです。

世の中の変化の流れが速く、大きくものを変えないといけない、しかし、大きいままの組織を変えていくのは難しい。だから、小さな単位で権限を委譲させ、変化に合わせて自己改革しながら、それぞれの小集団を切磋琢磨させることが望ましいのです。

よくある指摘

小集団にする場合、それぞれ分散された機能をどう最適化するか、その戦略的なバラつきをどうするのかの質問をよく受けます。

まず、戦略的なバラつきについての答えは簡単で、経営者がリーダーシップをとってすべきこととしないことの線引きをすることです。これを三枝氏は「戦略的束ね」といっています。

経営のリーダーシップが弱いから現場が勝手に動き、戦略ポートフォリオがばらばらになっている企業が多くあります。

そして重複機能による生産性の非効率化は、デジタルで解決できます。そもそも組織の機能を縦横で考えてしまう方の多くはデジタル音痴になっています。

過去にはいろんな会社で横串が入る組織体制をつくったりしていましたが、今はデジタルを使えば横串を刺すことが簡単にできます。

例えば、デジタルは素材の共同調達やどこの工場で何をつくるなどもリアルタイムで瞬時にまとめてくれます。 組織の縦は企画・生産・販売を小集団化し、横はデジタルでまとめて、各小集団のバラつきは経営がトップダウンで事業ごとにミッションや価格帯を線引きすることによって、本来の事業部制、アメーバが機能するようになります。