採用面接の質問内容で良い人材が見抜けない理由

ある中小企業の技術部門の採用面接がうまくいかないということで、参加させて頂いた時の話です。

彼ら曰く、専門性のある技術者は年齢が高く、自社の風土に馴染むかどうかの判断が難しく、一方で若手技術者は専門性が多少見劣りはするが、教育次第で将来的には活躍してくれる人材となってくれそうだが、伸びしろがある人材かどうかの判断できないとのこと。

そこで、技術者の採用面接に参加してアドバイスほしいとのことで数人の採用面接に参加しました。

彼らの採用面接の方法

中小企業で面接をする人は、部門長→社長という流れが多く、部門長が決めれば社長はよっぽどのことがない限りOKを出します。

面接官である部門長は、組織の中で仕事ができる方が多く、社内ではやり手として認められています。

しかし、「仕事ができる」と、「人の見る目がある」のは全く異なります。さらに良い人材を採用したいと思いはありますが、その方法については無関心でした。

仕事のスキルについて興味はあるものの、面接にもスキルが必要ということを知りません。なぜか、「人を見る目がある」と言うのですが、その根拠はありません。

また、応募者を多角的に見ようとするために「長所と短所を教えて下さい」「将来どのような人材になりたいですか」「尊敬する人はいますか」など、聞いてどうするのという質問やコンプラに引っかかる質問まで、応募者の何を知りたいのか、知ってどうするのかが分かりません。

もちろん経歴を聞いて、仕事を任せられるかどうかの「能力」の確認はしていますが、結局のところ、これらの質問に意図はなく、ただ単に応募者が好きかどうかを確かめたいだけです。なので会話が盛り上がった応募者が気が合うということで採用されていきます。

「人を見る目がある」という勘違い

Googleは採用データを収集し、面接の精度について、検証した事実を公表しています。そこからわかるのは、

以上、どちらかといえば面接官に問題があり、このような「面接官による判断・評価」を少しでも全うなものとするためにGoogleが採用としているのが構造化面接です。

その方法は「行動面接」と「状況面接」の2つを組み合わせて「あらかじめ評価基準や質問項目を決めておき、手順通りに実施していく」というものです。https://rework.withgoogle.com/jp/guides/hiring-use-structured-interviewing/steps/introduction/

行動面接:

「あなたがこれまでの仕事でもっとも苦労した経験を教えてください」といった質問で、当時の状況(Situation)、そのとき抱えていた課題(Task)、どのような行動(Action)をとったか、どのような成果(Result)が出たのか、を掘り下げて聞いていきます。

状況面接:

「もし、○○な状況にあったらどうしますか」という具合に、面接官側で設定した架空の状況に対して、どのように考え、行動するのかを答えてもらいます。行動面接と同様に、具体的な話を掘り下げて聞いていくことで本音を引き出し、候補者の本質に迫ることができます。

Googleも採用している構造化面接法ですが、実は取り入れている企業はそれほど多くありません。その理由として、そもそも質問を考えるのが想像以上に難しいということがあります。また質問に対しての評価項目をレベル分けするのも難しいです。

冒頭で記したように、経験者≒組織に馴染めるか、未経験者≒育成が大変に対して、どっちが良いのということで、その判断・評価を構造化面接で標準化できないかと考えてみました。

しかし、部門長が「質問なんて考えなくても面接くらいできる」と考えていることもあり、さらに評価基準をつくらなければならない面接方法の採用は難しい部分があります。

そこでまずひとつの判断軸で面接することをお勧めするようにしました。それが「経験」よりも「学ぶ力」を見るということです。

辿り着いた結論は「経験」よりも「学ぶ力」

まず「経験」を評価しようと思うと、実務経験〇年というところで判断しがちですが、長さにはあまり意味がありません。あっという間にできる仕事を、反復的に繰り返しても実務経験〇年になります。そんな経験を問うても何の意味はありません。

だから、Googleの構造化面接では、 「経験そのもの」よりも「どう考え、どう行動したのか」を深堀りするのです。しかし「どう考え、どう行動したか」を判断・評価するのが難しいということです。

なぜ「経験」に注目するのか、それは「経験」が何か新しいことを発見し、そこから学び、能力の成長と蓄積をもたらすプロセスだからです。つまり「経験」から何を学べたのか、それをしっかりと伝えられる方は「学ぶ力」が高いと判断できます。

「経験」は、全く違う分野だったり、顧客が変化した場合は役に立たないかもしれません。しかし「学ぶ力」が高いと、その変化に追従して学びながら対応することができます。だから「経験」よりも「学ぶ力が強い」が強い人を採用すべきです。

もちろん採用したい人材は、「経験者」かつ「学ぶ力が強い」人です。しかし、両者を求めることは難しいため、「学ぶ力」を優先することをお勧めします。