デザインを重視した経営手法、つまり実践的に使えるツールとしての『デザインマネジメント』は、学問領域において古くから存在しています。
その始まりは、1907年にミュンヘンで結成されたドイツ工作連盟(DWB)に遡り、その後1919年にはバウハウス、そして1953年にはウルム造形大学が設立され、デザインが社会的な機能として有効であると認識が広がっていきます。
1960年代に入ると、アメリカの学会で「経営とデザイン」という言葉が始めて使われ、デザインマネジメントの基本的な概念がまとめられてきます。企業のアイデンティティ、商品イメージ、ブランドを伝えるツールとして、デザインがマネジメントの対象になっていきます。
1973年には、イギリスのロイヤルカレッジオブアート(RCA)で、初めて『デザインマネジメント』という学問領域ができ、1980年代でその概念が確立されていきます。
近年、デザインマネジメント、デザインシンキングなど、デザインという言葉は幅広く使われていますが、その概念は様々な分野に渡り、一般の人にとって捉えづらい概念と思います。
大まかに説明すると、顧客に新しい価値を伝えるために、モノのデザインからそれを顧客に届けるまでのサービスのデザインまで一気通貫でマネジメントするのが「デザインマネジメント」です。
「デザインシンキング」は、既存の延長ではなく、新しい問題を発見してゼロベースから人間を中心に発想することです。例えば、現状を分析・理解してアイデアを考え、プロトタイプを作って検証して再度、現状を分析したり考えたりする、といったデザイナーの思考法になります。
しかしながら、デザインで最も大切なのは目に見える「かたち」をもち、そのデザイン(かたち)によって、あるイメージを一瞬で与えることができることだと思っています。
そこにデザインを絞ることによって、「美しいデザイン」が持つ関係性が明らかになります。それは顧客の関係性だけではなく、社内(働く人)にも影響を与えて行きます。
戦略とは、企業活動の基本設計図ですが、その基本設計図の中で、様々な要素の関係性を『美しいデザイン』が紡ぎ出していきます。