エステサロンが閉店する理由

美容サロン経営

エステサロン業界は参入障壁が低く、常に多数の新規店がオープンしている。エステといっても種類は様々で、フェイシャルエステや痩身エステ、リラクゼーションマッサージなどたくさんの種類がある。

最近では、ドライヘッドスパへの新規参入、サロンに属さない出張スタイルなども多く見られる。

一方で、あらゆる産業で価格破壊が起こり、お客様の相場感覚はむしろユニクロやニトリが生活基準となり、エステサロンのメニューも低価格を求めるお客様が多くいる。

そんな中、3年以上継続できるサロンは、ほんのわずか。施術のみではサロン経営は成り立たず、貯金が底を尽きて多くのサロンが廃業に追い込まれている。

さらに、マッサージチェア、ファットネスクラブ、格安マッサージなど、エステサロン施術の代わりになる商品は沢山ある。そして競争は激化する一方。

エステサロンの本質を見誤る

それでもサロンにご来店されるお客様は、沢山いらっしゃる。エステは美容であって医学とは全く違うので、効果は続かないし、効果が実証されないエステに行っても無意味だと言われる方もいる。

しかし、施術で身体をケアする、綺麗になるというのは、大義名分にすぎない。エステサロンのお客様の多くは、「気持ちが上がる」「優雅さに酔いに来ている」「施術者との会話を楽しみに」など、このようにエステ以外に目的があることがほとんど。

高級サロンの多くは、技術力の高さだけでなく、接客の質が高く、だからこそ高価格でもお客様がご来店される。

また、相手を思いやる深いコミュニケーション力があるからこそ、生き残っているエステサロンも多いのも事実。

「悟空のきもち」を真似た「王様のひととき」

例えば、ドライヘッドスパで新しい市場を創り出した「悟空のきもち」を真似たサロンが乱立した。大手もマッサージチェーンも「王様のひととき」というブランドで銀座に2018年8月にオープンしたが、翌2019年7月には閉店。

王様のひととき

「悟空のきもち」が多くの人の惹きつけるのは、もちろん業界先駆けてつくりだしたドライヘッドスパの仕組みがあったからこそだが、その本質も見誤る人が多く、その結果として大手も失敗したのであろう。

悟空のきもち

「悟空のきもち」の本質とは、アトラクション睡眠を楽しみにするお客さんが多くいるということ。

前途したエステサロンと同じく、「頭をほぐす」ことに注目される方が多いが、それは大義明文にすぎない。最高の眠りの空間で、頭をほぐして、寝落ちするアトラクションを求めてお客様は来店されている。

エステサロンのメディカル化

一時期多くのエステサロンがメディカル化へ舵を切り、医学的な要素の強いエステにして、お客様の来店頻度を確保しようとする動きがあった。

また、セラピストから「先生」という立場になることで医者と患者の関係を築き、深刻な悩みに対して改善をキーワードとしたメニューで高単価しやすいからという理由がある。

つまり、エステサロンの良さと治療院の良さを掛け合わせたメニューを提供することで、お客様との関係を強固することが目的。

しかし、このケースも前途と同じく、お客様がエステサロンに何を求めているのかを考えず、短絡的にメディカル化しようとしたサロンでは顧客離れが起きたことは言うまでもない。

なぜお客様のニーズを見誤るのか

顧客ニーズに基づくことが商品開発などのスタンダードとされていますが、それがいつの間にかお客様の声を頼れば良い、つまり既存のニーズを追いかけるだけになってしまって、お客様のニーズを見誤ること繋がる。

お客様の声を把握するだけで、商売が続くのであればそんな簡単なはなしはない。お客様の声を鵜呑みにするのではなく、なぜお客様はそう想うのかを予測し、想像し、考え抜くことしかない。

ある経営者が「なぜお客様が来るのか、なぜ売れるのか、なぜ儲かるのか」、それを言葉で説明できないような商売はしないし、投資もしないと。さらにそれが長続きしそうかどうかを判断すると。つまり売れる論理をつくること、以外とここをしっかりできておらず、エステならお客さんが通ってくれる理由をなんとなくしか理解していない。

また、その理由がわかれば、それを発信して、提案する重要性と楽しさにも気づくことができるはず。

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