サロン開業時には18ヶ月分の資金が必要

美容サロン経営

個人事業主の4割は1年で廃業し、2年以内に半分が廃業、10年生き残れるのは1割も満たないという実態を知っていますか。

一方で中小企業でも、創業から3年以内に廃業に追い込まれています。なぜ、中小企業や個人事業主は廃業に追い込まれやすいのか、潰れないためにどうすればよいのかを考えてみましょう。

起業からわずか数年で店じまい

新型コロナウイルスの影響でサロンの多くが休業を余儀なくされました。そのためコロナ前よりも売上が減った事業が7割に達したという調査があります(「新型コロナウイルス感染症の影響下における中小企業の経営意識調査」2021年5月、東京商工リサーチ調査)。

休業したサロンがある一方で、無理にでも営業し続けたサロンもあります。結果として、休業したサロンからお客様が、営業しているサロンに流れ、営業開始後でもお客様が戻らず、苦しい状況に置かれているサロンもあります。

起業から数年で廃業する確率は、中小企業庁のデータから、平均して1年で約3割、3~5年で4~6割、個人事業主の場合はさらにサイクルが早く、1年で約4割が店じまいに追い込まれます。

店じまいになる理由

店じまいせざる得ない理由は様々ですが、特に個人事業で多いのは資金ショートです。お金がなくなる理由は、初期費用をかけ過ぎる、つまり物件取得、内外装費、設備費などの初期費用で多額の資金を使ってしまい、その後の運転資金、家賃、仕入れ、人件費などに対して、売上の見通しが甘く、資金ショートしてしまうケースが多くあります。

もちろん、創業時から売上が上がれば問題ないのですが、中小企業庁の「原因別倒産状況」では、直近11年間の調査では、倒産理由1位は販売不振です。つまり、売上見通しが甘く、結果的に1~3年程度で廃業に追い込まれていくという構図が見えてきます。

また、集客が難しい状況の中で、集客コンサルから営業電話が多く掛かってきます。「私たちコンサルに任せれば集客は問題ない」との話を聞き、逆転するためのWEB集客をお願いするケースが後を絶ちません。WEB集客する会社が、電話営業している時点で怪しさ満点なのですが、多くの方が冷静な判断ができずにお金をつぎ込んで失敗してしまいます。

黒字は平均6~7ヵ月後

色々な業界でも、最初から想定通りに売上をあげるケースは稀です。もちろん業種にもよりますが、黒字転換には6~7ヵ月程度かかるというのが平均的数値です。

なるべく初期費用を抑えることが起業のセオリーですが、これだけ沢山のお店があると内装にお金をかけないことが逆に集客を鈍らせる原因になってしまうこともあります。さらにコロナ禍では、事業の不確定要素は増加しており、これまで以上に計画的な経営が求められます。

そんな厳しい状況の中で、単価を下げて集客するべきかの判断を迫られ、単価を下げて、数をこなしても売上が立たず、逆に単価を下げないと閑古鳥が鳴くという、いずれも手足が出ない状況に追い込まれるかもしれません。

厳しい状況に陥ってから打てる手はそう多くありません。特に創業時には努力の方向がなかなか見出せません。周辺のお店との差別化、メニューの見直しなど、テコ入れをしたいと思っても、明日の資金がなければ新たな戦略を考えることも打ち出すこともできません。

さらに毎月の家賃などの運転資金、つまり固定費は売上に関係なく毎月かかります。こうして店じまいをせざる得ないことになります。

サロン開業時には18ヶ月分の資金が必要

創業して黒字になるのが平均6~7ヵ月後、その間に集客して、さらに人を雇って、お客様を捕まえて事業を安定させて伸ばしていくためには約18ヶ月必要と言われています。つまり固定費の18ヶ月分を準備することで、あらゆる想定外に備えるということです。

ただし、これは運転資金なので、別に設備費用が必要な事業であれば、プラスα準備する必要があります。

開業前に最低でも半年間分ぐらいは、売上がゼロでも生活できるよう生活費を貯めると指南をする方もいらっしゃいますが、競争が激しく、不確定要素が沢山ある状況なので、毎月かかる固定費の18ヶ月分は準備して下さい。

自己資金では難しい場合は、日本政策金融公庫の創業融資を活用するべきでしょう。統計的には融資満額を得るためには自己資金を3割(27%)用意することが必要となっています。

ただし、見直してほしいのが、創業にあたり、そもそもお金を集められる事業であるかどうか、その事業を選んでいるかどうかということです。つまり自分で狙って売上や利益をつくれるか商売であること、そして誰が見ても社会通念上必要な事業であること、この2点を前提にして、いくら融資が必要なのかを考えましょう。

いくらその事業に必要なのか考える前に、ちゃんとお金を集められる事業なのか、ここをきちんと理解せずに、自分の事業は必ず売れると思うと失敗します。

もちろん、創業融資でも必ずその部分が問われるため、創業融資コンサルに融資書類づくりを丸投げしないで、自分でしっかり考えましょう。

ご参考に。

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