人の多さは数値として捉えやすいし、人の多いところに商機があるのは確か。
だから、クラインアントの言う恵比寿・目黒・代官山は人が多く、かつ競合も多い。
さらに人の多さ(量)だけでなく、イメージ(質)がどうなのかも大事なこと。このイメージ(質)の多様性が奥深さを生む。
サードウェーブコーヒーの立役者となったブルーボトルコーヒーは、2015年2月に日本一号店を東京メトロ半蔵門線、清澄白河駅から徒歩10分の地に開店している。
ここはアメリカの本社があるオークランドの環境に似ていることから、数ある候補地の中からこの地を選んだそう。

第一号店の最大の特徴は、海外各地から届いた豆がダイナミックに積みあがっている倉庫のような店内。これをいきなり都心で再現しようとも難しい。
このようにイメージを大切しながら店舗展開することは大変参考になる。
人通りの多さだけでなく「世界観」が大事
このように「イメージ」や「感性」を重視したエリア戦略を取る企業は他にも多くある。
例えば、スターバックスは、昼間人口の多さに街のイメージとブランドがマッチしたエリアから出店を進めている。

多く出店しているのが、千代田区(45店舗)、港区(40店舗)、渋谷区(38店舗)、新宿区(31店舗)、中央区(23店舗)など、人口が多いだけでなく、青山、麻布、六本木、丸の内、渋谷、代官山などイメージに合うエリアにも出店している(1996年第一号店は銀座松屋通り)。
このようにスターバックは昼間人口(量)とイメージの掛け合わせでエリア戦略を立てている。
ちなみに、表参道を含め青山周辺は、昼間人口の女性比率が47%で第一位と言われていて、都心で最も女性が多いエリア。
かといって、美容サロンを開店してもあまり上手くいかないエリアの一つ。なぜ上手くいかないか考えてみることも大切。
イメージをどう判断する?
あるチェーン店で大成功している社長から聞いたはなしで、その社長はお客様になってすべてを体験することが大事という。それは自店だけでなく、自店に通ってくれる人が、どこに行って何をするかまで体験すると。
このお店を使う人が、お店に来る前にどこに寄るのか、お店を出た後にどこで食事をして、どこで買い物するのか、そういう動線を探すことが重要。そのお客様の動線を探せば、自ずとエリアが絞られてくる。
自店のお客様がどういう層なのか、その層の人たちはどこにいて、何が好きで、何にお金を使うのか、そうやってターゲットを絞って、その人たちが行きそうなエリアに出店することが大切。
また、クライアント曰く、同じ系列のデパートやスーパーを観察することもよいらしい。同じお店でも場所が違えば、商品構成が全く違ったものになっており、やはり現地のニーズを汲みとったかたちになっているから。
冒頭のブルーボトルコーヒーの第一号店の立地の選び方やスターバックスのエリア戦略が表すように、その店が表す“世界観”が必要となってくる。
よく、銀座〇〇〇や恵比寿〇〇〇などのお店の名前を見かけるが、そのような街のイメージを借りる時代ではないように感じる。
そもそも、その店の“世界観”がないのに、そんなイメージだけを借りてもしょうがない。
そのエリアのイメージが良いかどうかを表すときに何を基準にするべきかの参考に。