美しいデザインで企業は成功する(『教科書を超えた技術経営』日本経済新聞出版社)

https://www.tus.ac.jp/ridai/doc/ji/RIJIA01Detail.php?kin=boo&no=15737

この本は、東京理科大MOTの伊丹敬之先生、宮永博史先生のもとで各企業に勤める方々によって書かれた本です。

特に「第4章 美しいデザインで企業は成功する(担当:菊地雅博)」は、なぜデザインが重要なのかを、スティーブジョブス(アップル)をケーススタディとして扱い、述べています。各節の内容は概ね以下になっています。

1.デザインとは何か

デザインという言葉は幅広く用いられているが、最も大切なのは、目に見える「かたち」をもつということ。そのデザイン(かたち)によって、あるイメージを一瞬のうちに与えることができ、それが感性に訴えるものであれば、顧客は製品に触り、使ってみたくなる。つまり、目に見える「かたち」としてのデザインが顧客を吸引するきっかけとして、大切なのである。

2.美しいデザインの感性へのインパクト

イノベーションとは感動である。その感動が伝染力を持って広がることが、イノベーションには必要である。しかし、感動が伝染力を持って広がるためには、その動力源となるものが必要である。感動を創り出し、その感動が伝染していくための駆動装置として、美しいデザインが機能する。たんなる製品の機能性や経済性ではもつことのできない伝染力である。

3.感性に訴える美しいデザインをつくるためには

なぜ多くの日本企業は、モノづくりが信条であるというのに、モノの美しさにこだわりを持てないのか。芸術的な創造性(美しさを追求する姿勢)を追求しなければ、顧客の感性に訴える美しいデザインは生まれない。デザイナーやエンジニアの区別なく、誰もが美意識を持ってモノづくりに挑むことが必要である。アップルでは、エンジニアまでもがスティーブ•ジョブスやデザイナーと同じ美意識を持ってモノづくりに挑むからこそ、そのデザインが他の企業とは異なる魅力を持つ。皆で完璧を目指し、愚直により美しい製品を作ろうとする努力を続けることで、優れたモノづくりの方法や手段ができあがっていくはずである。

4.美しいデザインだけではダメ

社会の多くの人々と共有できる問題を解決するのが美しいデザインの本質である。つまり、目に見えるだけでも、美しいだけでもダメである。社会の多くの人々と共有できる問題とは、人の本質的な欲求をきちんと反映したニーズと言ってよいだろう。だから、社会のニーズにつながる美しいデザインとは、人の本質的な欲求にきちんと答えるものである。そうした人の本質的な欲求、しかも社会の中でうまれてくる欲求をきちんと想像できるためには、人と社会について深い理解が必要になる。それが誰もがその製品を理解できるコンセプトになりうる。

また、顧客の本質的な欲求を理解し、その欲求にコンセプトがアピールできるものでなくてはならないし、そのコンセプトを実現するためには、あらゆる技術シーズのポテンシャルをも深く理解しなければならない。新しいテクノロジーも、コンセプトの上にいかに適合できるかによってその水準が決まってくる。

私たちはコンセプトがあるからこそ、新しいテクノロジーを自然に暮らしの中に取り入れることができる。そのコンセプトにあわせて、人間に寄り添う美しいデザインを考えること。そのコンセプトがテクノロジーと人とを結びつける触媒になりうる。

もちろん、美しいデザインだけではダメである。しかし、美しいデザインがなければ成功しないこともしばしばである。一番大切なのは顧客が美しいデザインに感動すること。その感動が伝染する駆動装置として、美しいデザインが機能する。


伊丹先生により各章が紹介されていますのでご覧下さい。


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